
マグカップの取っ手の修理 金継ぎでお直し
大切にしていたものが壊れてしまったらとてもとても悲しいはずなのに・・・
どんな風にお直しされて帰ってくるのかな~と楽しみに変わってしまう修理技法があるのを
ご存知でしょうか
不思議なほど真逆な発想ですがこの技法の1つが「金継ぎ・プラチナ継ぎ」です
特に今回は修理箇所の形状によりこのようなデザインの装飾をオーダーしたの?と思ってしまうほど
とてもオシャレに仕上がっています
まずは「金継ぎ・プラチナ継ぎ」とは何だろう?と思っている方も多いと思うので分かりやすく
解説します↓↓↓
「金継ぎ・プラチナ継ぎ」とは
陶器の歴史
土器から始まった日本に土で作った器を「焼く」という技術が外国から伝わったのは
5世紀の頃でした
更に釉薬をかけて艶や風合いの美しさを表現するようになったのは「焼く」技術を取り入れてから
200年後の7世紀頃です
陶器というものは一定の高温を数日保ち作られるとても難しい作業ですが、途中で割れてしまう
ものがほとんどだったそうです
この時代に「陶器」として完成するものはとても少なかったことは想像できますよね
今はたくさんの陶器製品が皆さんの身の回りにもあると思いますが当時は大変貴重なものでした
金継ぎ・プラチナ継ぎ
金継ぎの歴史は古く室町時代から続く修理方法で日本が誇る伝統技法です
非常に貴重な陶器が割れてしまったり、欠けてしまったら一大事!ともいえるような状況の中、
何とかして使い続けられるようにはできないものか?と考えます
1300年代に漆を接着剤の代わりに使用し、陶器という貴重さを象徴するかのように
接着箇所に金粉を撒き新たな芸術作品として作り上げたのが「金継ぎ」です
日本人らしい”ものを大切にする”発想がこの技術を生み出しました
天然の素材で修理をするということは体内に入っても安心ですよね
素晴らしい技法の誕生です✨
※プラチナ継ぎは近年になってからの技法です
修理後の注意点
飲食でお使いの場合天然の漆と純金粉・純プラチナ粉を使用していますのでこれまで通りの
使用が可能となりますが電子レンジ、食器乾燥機での使用はできません
洗う際は長時間水に浸したり、クレンザーなどの研磨剤入りの洗剤の使用は避けていただき、
またスポンジで強く擦りますと剥がれる恐れがございますのでご注意ください
レストーレの金継ぎ・プラチナ継ぎについて
金継ぎ・プラチナ継ぎは技法として1つですがレストーレでは2つのこだわりがあります
1つは≪材料≫です
【天然の漆】と【純金粉・純プラチナ粉】を使用しています
そしてもう1つは≪仕上げ≫です
一般的に漆で接着して金粉・プラチナ粉を撒き凸凹の状態で完成となりますが
レストーレでは金粉・プラチナ粉を蒔いた後にお品物になじませるように磨いて仕上げています
これにより美しい模様ができたような上品な仕上がりになります
お品物の色や雰囲気によって金継ぎかプラチナ継ぎを選択することができますので
仕上がりの楽しみもできますよね
このような技法で本日お直しをするのはマグカップの取っ手です
修理前の状態
こちらが破損したマグカップです↓↓↓
取っ手ごと割れてしまいました
断面です
細かな凹凸がありますね
陶器は破損すると細かい破片が飛び散ります
パーツを合わせても隙間が空いてしまう素材です
では早速「金継ぎ」にてお直し開始です!
作業内容
まずはキレイにお掃除です
先ほども申し上げた通り、陶器は細かい砂粒状のものがポロポロと取れます
このまま接着をしてもすぐ取れてしまいます
同時に油分や汚れも徹底的に除去します
キレイになったら取っ手の接着位置を決めます
平らな断面ではないのでわずかな角度のズレでとても違和感を感じる取っ手になってしまいます
元の状態と同じ場所を見定めて仮止めをします
そしていよいよ接着です
漆を塗布し接着したら、隙間も埋めるとこのようになります↓↓↓
破損箇所が元の位置に接着されましたね
隙間も空いていません
そして接着部分に金粉を撒きしっかりと密着させます
ここからレストーレの磨き仕上げをしお品物になじませ滑らかになったら完成です
今回は取っ手の根元の金継ぎとあってとてもオシャレな仕上がりになりました✨
どうぞ完成をご覧ください↓↓↓
修理後
こちらが金継ぎをしたマグカップの取っ手です↓↓↓
金色のリングを取り付けたようなオシャレな仕上がりになりましたね!
お品物に金色がとてもマッチしています
磨いて仕上げているので艶やかで美しいですね✨
これでこれからもティータイムが楽しくなりそうです♪
金継ぎ・プラチナ継ぎのお直しは様々な表情をもって完成します
壊れてしまっても直しながら未来に引き継いでいくという素晴らしい技法を
このブログでも多数ご紹介していますのでご興味のある方は是非ご覧ください
修理・修復なら『レストーレ』へ
今回は金継ぎでのお直しをご紹介しましたが、陶器のお直しはもう1つ
「合成樹脂直し」という技法もございます
この技法は修理跡が分からないぐらいキレイに仕上がりますが、合成の樹脂を使用するため
段使いの食器などは使用できなくなります
レストーレでは体への影響も考慮しながら修理を行っています
当社へのお問合せは電話やメール、LINEをご用意しております
遠方の方は梱包していただければ全国どこからでもご依頼可能です
紙製品と機械類以外ならどのような素材でも、どのような壊れ方をしてしまっても
素材の性質を知り尽くした当社の職人たちが技術を注ぎ修理をします
どうぞお気軽にご相談ください
スタッフ一同、いつでもお待ちしております