ノリタケ復活!お家でできる簡単リペアと、プロに任せるべき境界線
「大切にしていたノリタケのコーヒーカップにヒビが入ってしまった……」
「お祝いで頂いた思い出の皿を落として欠けさせてしまった」
日本が世界に誇る洋食器ブランド、ノリタケ(Noritake)。その美しく透き通るような白磁や繊細な絵付けは、単なる実用品を越えて、家族の思い出や歴史を彩る「宝物」となっていることも少なくありません。しかし、磁器である以上、不意の衝撃で割れたり欠けたりするリスクは常にあります。

お気に入りの食器が破損したとき、真っ先に浮かぶのは「これって直せるの?」という疑問ではないでしょうか。
本記事では、ノリタケの食器を愛する方々へ向けて、自分で行える簡易的な修理方法(リペア)から、伝統技法「金継ぎ」による修復、そして専門業者に依頼すべき判断基準までを徹底解説します。ノリタケの歴史や材質の特性を理解しながら、愛着ある器を未来へ繋ぐための最善策を見つけていきましょう。
1. なぜノリタケは特別なのか?その歴史と材質を知る
修理を検討する前に、まずお手元のノリタケがどのような価値を持ち、どのような材質で作られているかを知ることが大切です。これを知ることで、適切な修復方法が見えてきます。
日本から世界へ。ノリタケ(Noritake)が歩んだ軌跡

ノリタケの歴史は、1904年に愛知県名古屋市(現在のノリタケの森がある地)で設立された「日本陶器合名会社」から始まりました。当時の日本にはなかった「白く美しい洋食器」を自国で作りたいという情熱から、10年もの歳月をかけて日本初のディナーセットを完成させたのです。
その後、米国を中心に輸出された製品は「オールドノリタケ」として、現在も世界中のコレクターの間で高値で取引されています。名古屋にある「ノリタケの森」のミュージアムでは、明治・大正期の豪華な絵付けや、工業用砥石製造で培われた高度な技術の変遷を見ることができます。
ボーンチャイナと白磁。材質による修理の難易度
ノリタケの製品には、主に2つの代表的な材質があります。
- ボーンチャイナ(Bone China):
牛の骨灰を混ぜて焼成したもので、透光性が高く、温かみのある柔らかなアイボリーホワイトが特徴です。非常に繊細で強度はありますが、一度割れると断面が複雑になる傾向があります。 - ファインポーセレン(磁器):
ノリタケ独自の技術で開発された、硬く、純白に近い白さが特徴の磁器。現代のラインナップ(マグカップやギフトセット)に多く見られます。
これらの材質は吸水性がほとんどないため、接着剤の定着には工夫が必要です。また、金縁(ゴールドライン)などの繊細な装飾は、修理時に剥がれやすいため注意が必要です。
2. 【自己判断】自分で直せる?プロに任せる?の境界線

「自分で直して失敗したらどうしよう」という不安はもっともです。修理の可否を判断する3つの基準をご紹介します。
自分で修理して良いケース(セルフリペア)
- 小さな「欠け」: 1〜3mm程度の縁の欠け。
- 単純な「割れ」: 2つ、あるいは3つに綺麗に割れており、破片がすべて揃っている。
- 鑑賞用として使う場合: 今後、実際に飲食には使わず、インテリア(作品)として飾る場合。
プロ(修復専門業者)に依頼すべきケース
- 粉々に砕けた場合: 破片が細かすぎると、素人の接着では元の形を保てません。
- 金縁や複雑な絵付けがある場合: 接着剤で絵柄が溶けたり、段差ができたりすると、ノリタケ特有のデザイン美が損なわれます。
- アンティーク(オールドノリタケ): 希少価値の高いアイテムは、自己流の修理で価値が大きく下がってしまいます。
- 電子レンジや食洗機を使い続けたい: 家庭用接着剤は熱に弱いため、実用性を重視するなら専門技術(金継ぎ含む)が必要です。
3. お家でできる!ノリタケの簡単リペア法
軽微な損傷であれば、市販アイテムを使って自分で修復することが可能です。ただし、飲食に使用する場合は「食品安全基準」をクリアした材料を選ぶことが大前提です。

準備するアイテム
- エポキシ樹脂系接着剤(食器用・耐熱性のもの)
- マスキングテープ(仮止め用)
- 爪楊枝や竹串(微細な塗布用)
- カッターナイフまたは除光液(はみ出し処理用)
手順1:断面の洗浄と乾燥
汚れや油分が残っていると、接着強度が著しく低下します。中性洗剤で丁寧に洗い、完全に乾燥させてください。
手順2:仮組み
接着剤をつける前に、パズルのように破片を組み合わせてみます。隙間がないか、どの順番で合わせるのがベストかを確認します。
手順3:接着
爪楊枝を使い、薄く均一に接着剤を塗布します。多すぎるとはみ出し、少なすぎると強度が不足します。破片を合わせたら、マスキングテープでしっかり固定し、24時間以上静置してください。
4. 伝統技法「金継ぎ(きんつぎ)」で蘇らせる
ノリタケのような上品な洋食器に、日本の伝統技法である金継ぎを施すと、元の姿とはまた違った「景色」が生まれます。
金継ぎとは?

割れた断面を漆(うるし)で接着し、継ぎ目を金粉などで装飾する技法です。欠陥を隠すのではなく、傷を「歴史」として肯定する日本独自の美意識です。
ノリタケ×金継ぎの相性
ノリタケの白い肌に金のラインが入ることで、まるで最初からそのようなデザインであったかのような高級感が生まれます。特にホワイト系のシリーズ(シェール ブランなど)との相性は抜群です。
- 本格金継ぎ: 本漆を使用。完成まで数ヶ月かかりますが、最も安全で丈夫です。
- 簡易金継ぎ: 合成樹脂と金粉を使用。数日で完成し、初心者でもワークショップ等で挑戦しやすい方法です。
ご自身で修理をされる方へ金継ぎキットの紹介
最近では、初心者の方でも手軽に金継ぎに挑戦できるキットが販売されています。
キットには、必要な材料や道具が揃っているので、便利です。
【オススメの金継ぎキット】
初心者が扱いやすく、食器に使用しても安全な材料で構成されている以下のキットをご紹介します。
フードセーフ金継ぎキット (HOMEBODY)

主な特徴は、短時間で金継ぎが完了できるように合成樹脂を使う点にあるのですが、使用する合成樹脂はすべて食品衛生基準をクリアした材料を使用しているという点が他の金継ぎキットより優れていると言えます。初心者でも安心して食器に使用できます。扱いが簡単で、短期間での修復が可能です。作業動画も付属しており、初めての方におすすめです。
5. 失敗したくない方へ。プロの修復業者に依頼する

「大切なギフトだから」「どうしても元のデザイン通りに戻したい」という場合は、専門の修復ショップへ相談しましょう。
修復業者が行うこと
プロの業者は、単に接着するだけでなく、どこが割れていたか分からないレベルまで復元することも可能です。
費用の目安
- 小さな欠け:4,000円〜
- 大きな割れ:20,000円〜
- 美観の完全修復:別途見積もり
※アンティーク品や、損傷の激しい場合は数万円になることもありますが、ノリタケの価値を考えれば決して高くはない投資と言えるでしょう。
依頼先を探す際のチェックポイント
- 「陶磁器修復」の専門性があるか: 家具修理などのついでではなく、食器専門の技術を持っているか。
- 実績に「ブランド食器」があるか: ノリタケ、マイセン、ウェッジウッドなどの修復実績がある業者は信頼できます。
- 見積もりが明確か: 写真を送って事前見積もりができるストアが増えています。
6. 修理後のケアと、破損を防ぐためのポイント
せっかく復活したノリタケ。二度と悲しい思いをしないために、日頃のメンテナンスを見直しましょう。
修理後の食器の扱い

- 手洗いを推奨: 修理箇所は急激な温度変化や振動に弱いため、食洗機の使用は避けてください。
- 電子レンジは控える: 接着剤や金継ぎ部分は、マイクロ波で過熱されると劣化・剥離の原因になります。
破損を防ぐ収納のコツ
- クッション材を活用: 重ねて収納する場合は、間に薄い布やペーパーを挟むことで、縁の欠け(チッピング)を防げます。
- ノリタケの森で学ぶ: 名古屋の「ノリタケの森」では、食器の正しい扱い方や、ティータイムを彩るテーブルコーディネートのヒントも得られます。
7. まとめ:ノリタケと共に歩むこれからの時間

ノリタケの食器は、単なる道具ではなく、日々の生活を豊かにし、心を彩るパートナーです。もし割れてしまっても、それは「使い込んだ証」であり、新しい美しさを生み出すチャンスでもあります。
- 軽い欠けなら自分でリペアに挑戦してみる。
- 傷をデザインとして楽しむなら金継ぎを選ぶ。
- 完璧な復元を望むならプロの修復家に託す。
ご自身のアイテムの状態と、その器に込めた想いに合わせて、最適な方法を選んでみてください。再びあなたの食卓で、ノリタケの輝きが復活することを願っています。
レストーレで実際に手がけたオールドノリタケの花瓶の修理例


「レストーレ」は株式会社M&Iが運営する修復専門店です。2006年創業で東京都世田谷区のウルトラマン商店街に店舗を構えており、日本全国から多数のご依頼を頂戴しております。

レストーレでは単に修理の技術だけでなくお客様のお品への想いを受け止めて作業することを重視しています。近年ではTBS「back stage」や「冒険少年」、日本テレビの「news 「every」や「ヒルナンデス」でもその高い技術が紹介されました。
レストーレではそれぞれのお客様のご要望に適したサービスを提案しており、お品への保険やお品の安全な保管、配送時の梱包の工夫、お品物への保証などサービスの充実に力を入れています。