COLUMN

コラム

  1. HOME
  2. コラム
  3. リチャードジノリの修理例と歴史|愛着のある食器を蘇らせる方法

リチャードジノリの修理例と歴史|愛着のある食器を蘇らせる方法

お気に入りのリチャードジノリの食器が、不注意で欠けたり割れてしまったり。そんなとき、深く落胆した経験はありませんか? 高価なブランド品だからこそ、修理は無理だと諦めてしまう方も多いかもしれません。

しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。リチャードジノリのような高級磁器も、専門の業者に依頼すれば、目立たないように修復できる可能性があります。この記事では、リチャードジノリを修理したいと考えている方のために、ご自身でできる応急処置から、専門の業者に依頼する方法、そしてその価値を再認識するための歴史や代表作について詳しく解説していきます。大切なコレクションを蘇らせるためのヒントが、きっと見つかるでしょう。

リチャードジノリとは?知っておきたい歴史と価値

修理方法を知る前に、まずはリチャードジノリがどのようなブランドで、なぜ多くの人に愛されているのか、その歴史と価値について知っておきましょう。

創業から現代に至るまで

リチャードジノリの歴史は、1735年にイタリアのフィレンツェ郊外にあるドッチァで始まりました。当時のトスカーナ大公国の要職にあったカルロ・ジノリ侯爵が、自身の領地に磁器窯を築いたのが始まりです。この創業の年は、現在「GINORI 1735」というブランド名にも反映されています。

当時のヨーロッパでは、ドイツのマイセン窯などがすでに名声を得ており、磁器は王侯貴族の権力の象徴でもありました。カルロ・ジノリ侯爵は鉱物学に造詣が深く、自ら原料となる土を探して研究を重ね、イタリアで初めてとなる白磁器の製造に成功しました。

その後、1896年にミラノのリチャード製陶社と合併し、現在の「リチャードジノリ」というブランド名が誕生します。さらに1956年には、ラヴェーノのイタリア陶磁器会社と合併し、イタリア最大の陶磁器メーカーへと成長しました。

リチャードジノリを象徴する代表作と人気シリーズ

リチャードジノリには、時代を超えて愛され続ける数々の代表作があります。その中でも特に人気のあるアイテムをいくつかご紹介します。

  • ベッキオホワイト

    カルロ・ジノリ侯爵が最初に生み出した、リチャードジノリ最古のシリーズ。イタリア語で「ベッキオ」は「古い」という意味ですが、そのシンプルで美しい純白の磁器に、バロック様式のレリーフが施されたデザインは、今も変わらず多くの人々を魅了しています。

  • イタリアンフルーツ

    1770年頃、トスカーナの貴族の別荘用にデザインされたシリーズです。チェリーやスモモ、リンゴなどの果実が手描きで繊細に描かれ、イタリアらしい色彩と温かみのある雰囲気が特徴。今もリチャードジノリを代表するロングセラーアイテムです。

  • アンティックローズ

    1770年代に、ドイツのマイセン窯のデザインに影響を受けて生まれたとされるシリーズ。小さな薔薇が可憐に描かれており、アンティークのような趣が魅力です。

  • グランデューカ

    トスカーナ大公妃でオーストリア王妃でもあったマリア・テレジアのためにデザインされたシリーズ。日本の有田焼に影響を受け、ニワトリがモチーフとして描かれています。


割れてしまったリチャードジノリ!自分で修復できる?

愛着のあるリチャードジノリのマグカップや皿が割れてしまったとき、すぐに専門業者に依頼する前に、「自分で何とかできないか?」と考える方もいるでしょう。ここでは、ご自身でできる応急処置や、金継ぎなどの修復方法について解説します。

自分で修復することの限界とリスク

陶磁器の破片を接着剤でくっつけることはできますが、それはあくまでも応急的な修復です。以下のようなリスクや限界があることを理解しておく必要があります。

  • 強度不足:接着剤で修復した部分は、本来の強度には戻りません。熱湯を注いだり、衝撃が加わったりすると、再び割れてしまう可能性が高いです。
  • 見た目の劣化:接着面が白く濁ったり、継ぎ目が目立ったりして、元の美しいデザインを損なうことがあります。
  • 再修理が困難になる:素人による修復では、接着剤がはみ出して汚れたり、破片の正しい位置を把握できずにズレてしまったりすることがあります。そうなると、プロの業者でも再度の修理が非常に困難になるため、安易な修復は避けるべきです。
  • 有害物質のリスク:市販の接着剤には、口に触れる食器に使用できないものもあります。特に食品を口にするマグカップや皿、プレートの修理には注意が必要です。

金継ぎ修復という選択肢

金継ぎは、漆を使って割れた陶磁器の破片をつなぎ合わせ、継ぎ目を金や銀などの粉で装飾する日本古来の修復技法です。リチャードジノリのアンティークな雰囲気に、金継ぎの輝きは美しく調和することがあります。

しかし、金継ぎも専門的な技術と知識が必要です。初心者向けのキットも販売されていますが、美しい仕上がりを求めるなら、専門の職人に依頼するのが賢明です。

リチャードジノリの修理はどこに依頼すべき?

自分で修復するのが難しいリチャードジノリのマグカップや皿、ポットなどは、専門の修理業者に依頼するのが最善の方法です。ここでは、修理業者を探す際のポイントと、具体的な修理例について解説します。

依頼できる業者を探す際のポイント

リチャードジノリの修理を依頼できる業者は、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. 陶磁器・アンティーク専門の修復業者
  2. 金継ぎ専門の工房

3としてどちらにも対応できる業者もあります。最後にどちらも対応可能な業者を紹介しています。

  • ひび割れ、欠け、取っ手の破損:元のデザインを忠実に再現したい場合は、陶磁器専門の修復業者がおすすめです。目立たないように、元のデザインの絵付けまで再現してくれる場合があります。
  • 割れ、欠け:破損した部分をあえて「景色」として楽しみたい場合は、金継ぎ専門の工房に依頼すると良いでしょう。

業者を選ぶ際には、リチャードジノリなどの高級磁器の修理実績があるか、事前に写真などで見積もりを出してもらえるかなどを確認しましょう。

マグカップ・皿・プレート・ポットなど、修理の価格と修復例

リチャードジノリの修理価格は、破損の程度やアイテムの種類、業者によって大きく異なります。一般的な修復例とその相場を見てみましょう。

  • 欠けの修理

    縁や取っ手のごく小さな欠けであれば、1〜2万円程度から修復できる場合があります。欠けた部分を補修し、色や絵付けを施して目立たなくします。

  • ひび割れの修理

    皿やプレートにひびが入ってしまった場合、ひびの長さに応じて価格が変動します。ひびを接着し、その上から塗装を施します。

  • 割れの修理

    複数に割れてしまったマグカップやポットを接着し、元の形に戻します。破片が多いほど、また欠損している部分が大きいほど、価格は高くなります。場合によっては数万円以上かかることもあります。

修理を依頼する前に、必ず複数の業者から見積もりを取り、修復の実績を確認することが重要です。

リチャードジノリのアンティークと価値

リチャードジノリには、製造年やシリーズによってアンティークとしての価値を持つアイテムが数多く存在します。破損したアイテムが、もしかしたら貴重なコレクションかもしれません。

廃盤シリーズと希少価値

現在では製造されていない廃盤シリーズは、中古市場で高い価値を持つことがあります。例えば、「アンティックローズ」や「アマデウス」などの一部のシリーズは、愛好家の間で人気が高く、状態が良いものは高価格で取引されることもあります。

破損していても、希少なアイテムであれば、修理してでも手元に置いておきたいと考える方が多いでしょう。修理するか、そのままの状態で買取を検討するかは、アイテムの価値を専門家に査定してもらうのが一つの方法です。

ジオ・ポンティデザインのアイテム

20世紀イタリアを代表する建築家でありデザイナーでもあったジオ・ポンティは、1923年から1933年にかけてリチャードジノリの芸術監督を務めました。彼がデザインしたアイテムは、古典的なデザインと現代的な感覚が融合しており、非常に高い価値を持っています。

ジオ・ポンティがデザインしたコレクションの中には、ペルージャやポセイドンなど、現在でも高い人気を誇るものが多くあります。このような特別なアイテムは、破損していても修理する価値が非常に高いと言えるでしょう。

まとめ:リチャードジノリの修理で大切なこと

愛着のあるリチャードジノリのマグカップや皿、ポットが破損したとき、そのショックは大きいものです。しかし、安易に自分で修復を試みる前に、まずは専門の業者に相談することをお勧めします。

リチャードジノリのアイテムは、その歴史とデザインが詰まった、まさに芸術品です。欠けや割れは、そのアイテムの歴史の一部として受け止め、金継ぎなどで新たな命を吹き込むのも素敵な選択です。

この記事で紹介した修理や修復の情報を参考に、大切なリチャードジノリのアイテムを再び輝かせるための最善の方法を見つけてください。


リチャードジノリの修復ならレストーレへ!

「レストーレ」は株式会社M&Iが運営する修復専門店です。2006年創業で東京都世田谷区のウルトラマン商店街に店舗を構えており、日本全国から多数のご依頼を頂戴しております。


レストーレでは単に修理の技術だけでなくお客様のお品への想いを受け止めて作業することを重視しています。近年ではTBS「back stage」や「冒険少年」、日本テレビの「news every」や「ヒルナンデス」でもその高い技術が紹介されました。

レストーレではそれぞれのお客様のご要望に適したサービスを提案しており、お品への保険やお品の安全な保管、配送時の梱包の工夫、お品物への保証などサービスの充実に力を入れています。

実際にレストーレで手がけたリチャードジノリの修復例



マグカップの金継ぎ修復



ソーサーの色継ぎ補修

ご自身で修理をされる方へ金継ぎキットの紹介

最近では、初心者の方でも手軽に金継ぎに挑戦できるキットが販売されています。
キットには、必要な材料や道具が揃っているので、便利です。

【オススメの金継ぎキット】

初心者が扱いやすく、食器に使用しても安全な材料で構成されている以下のキットをご紹介します。
フードセーフ金継ぎキット (HOMEBODY)

主な特徴は、短時間で金継ぎが完了できるように合成樹脂を使う点にあるのですが、使用する合成樹脂はすべて食品衛生基準をクリアした材料を使用しているという点が他の金継ぎキットより優れていると言えます。初心者でも安心して食器に使用できます。扱いが簡単で、短期間での修復が可能です。作業動画も付属しており、初めての方におすすめです。