割れたアラビア(ARABIA)は自分で直せる?修理方法と「プロ依頼」の判断基準ガイド
お気に入りのアラビア(ARABIA)の食器が割れてしまった時のショックは計り知れません。フィンランドの豊かな自然や神話をモチーフにしたデザイン、そして何より日々の暮らしを彩ってくれた大切な相棒。
「なんとかして直したいけれど、自分でできるの?」
「プロに頼むといくらかかる?」
「金継ぎをした後、電子レンジは使える?」
そんな疑問を持つ方に向けて、この記事ではアラビア食器の修復・修理に関する完全ガイドをお届けします。自分で直す方法(簡易金継ぎ)から、プロの修復業者に依頼すべきケースの判断基準、そして長く愛用するための知識までを網羅しました。
1. アラビア(ARABIA)の価値と修復する意義
なぜ、割れた食器を捨てずに「直す」という選択肢がこれほど注目されているのでしょうか。まずはアラビアというブランドの特性と、修復の価値について掘り下げます。
1-1. 世代を超える「北欧ヴィンテージ」としての資産価値

アラビアは1873年にフィンランドで誕生して以来、北欧デザインの巨匠たちによって数々の名作を生み出してきました。
特にヴィンテージ市場での人気は年々高まっています。例えば、ウラ・プロコッペがデザインした「ルスカ(Ruska)」や「バレンシア(Valencia)」などは、廃盤となった今でも高値で取引されています。
また、ムーミンシリーズのマグカップなどは、年ごとの限定デザインやクリスマス限定品があり、コレクターズアイテムとしての側面も持っています。これらは単なる食器ではなく、直してでも使い続けたい「資産」なのです。
1-2. 材質と耐久性:アラビアはなぜ割れるのか?

アラビアの食器は、ストーンウェアや硬質陶器など、非常に丈夫な材質で作られています。厚みがあり、日常使いに適しているのが特徴ですが、陶磁器である以上、落下や急激な温度変化には勝てません。
しかし、その「厚み」と「質の高い陶土」は、実は修理・修復(特に金継ぎ)と非常に相性が良いのです。薄いガラス製品よりも接着面が確保しやすく、修復後も再び実用的な強度を取り戻しやすいのがアラビアの強みでもあります。
1-3. 「金継ぎ」で新たな美しさを吹き込む
近年、割れた器を漆(うるし)と金粉で修復する日本の伝統技法「金継ぎ」が世界中で注目されています。
大胆な柄の「パラティッシ」や、幾何学模様の「マイニオ」に金のラインが入ることで、世界に一つだけのアート作品へと生まれ変わります。「傷を隠す」のではなく「景色として愛でる」という考え方は、長くモノを大切にする北欧の精神とも深く共鳴します。
2. 自分で直す?プロに頼む?判断基準のチェックリスト
修理を検討する際、最も悩むのが「DIY」か「プロ依頼」かです。以下の基準で判断しましょう。
2-1. 【DIY推奨】自分で直せるケース
以下の条件に当てはまる場合は、市販の「簡易金継ぎキット」などを使い、自分で修理することに挑戦しても良いでしょう。
- 破損状態: 小さな欠け(チップ)や、パーツが少なく綺麗に割れた場合。
- 用途: フラワーベース、インテリアとして飾る皿、乾き物を乗せるだけのプレート。
- コスト: 修理費用を数千円以内に抑えたい。
【注意】
ホームセンターで売られている一般的な瞬間接着剤は、水に弱かったり、食品衛生法に適合していなかったりする場合があるため、食器用のものを選ぶ必要があります。
2-2. 【プロ依頼推奨】業者に任せるべきケース
以下の場合は、無理に自分で直そうとせず、専門の修復師に依頼することを強くおすすめします。
- 複雑な割れ方: 粉々になってしまった、破片が足りない。
- 安全性重視: スープなどの熱い液体を入れるボウルやポット、口をつけるマグカップ。
- 価値の高い品: 希少なヴィンテージ品、記念のギフト、高価なバレンシアの大皿など。
- 仕上がり: 継ぎ目を目立たせたくない、またはプロの美しい金継ぎを施したい。
2-3. 最も重要な判断基準:電子レンジと食洗機の使用

ここで非常に重要な注意点があります。
伝統的な「本金継ぎ」であれ、簡易的な「金継ぎ」であれ、基本的に修復後の食器は電子レンジ・食洗機の使用ができなくなります。
金属(金・銀・真鍮)を使用するためスパークする危険があり、漆や樹脂は高熱や乾燥に弱いためです。
もし「どうしても電子レンジを使いたい」という場合は、共継ぎ(ともつぎ)など特殊な技術を持つ修復業者を探すか、新しいものを購入し直す方が安全です。
3. アラビアを自分で修理する方法(簡易金継ぎ)

ここでは、初心者でも比較的取り組みやすい、合成樹脂(新うるし等)を使用した「簡易金継ぎ」の流れを解説します。
※食品衛生法に適合した材料を使用することを前提とします。
3-1. 必要な道具と材料
- 耐水性・耐熱性のあるエポキシ接着剤(食品衛生法適合品推奨)
- エポキシパテ(欠けを埋める場合)
- 新うるし(または合成漆)
- 金粉(代用金粉または本金粉)
- 筆、耐水ペーパー、マスキングテープ
3-2. 修復のステップ
- 洗浄と乾燥: 割れた断面の汚れを落とし、完全に乾燥させます。
- 仮組み: テープで破片を固定し、ズレがないか確認します。
- 接着: エポキシ接着剤を断面に塗り、圧着して固定します。はみ出した接着剤は硬化する前に拭き取ります。
- 埋める: 欠けている部分はパテで埋め、硬化後にペーパーで平らに研磨します。
- 装飾: 接着ラインの上から漆(または代用漆)を塗り、金粉を蒔いて装飾します。
- 乾燥・硬化: 説明書の指示に従い、十分な期間(数日〜数週間)乾燥させます。
3-3. DIYの失敗例と注意点
よくある失敗は「接着剤の厚みでズレる」「段差ができる」ことです。特に「24hトゥオキオ」や「アベック」のようなフラットなプレートは、わずかな段差がガタつきの原因になります。自信がない場合は、この段階でプロへの依頼に切り替えましょう。
ご自身で修理をされる方へ金継ぎキットの紹介
最近では、初心者の方でも手軽に金継ぎに挑戦できるキットが販売されています。
キットには、必要な材料や道具が揃っているので、便利です。
【オススメの金継ぎキット】
初心者が扱いやすく、食器に使用しても安全な材料で構成されている以下のキットをご紹介します。
フードセーフ金継ぎキット (HOMEBODY)

主な特徴は、短時間で金継ぎが完了できるように合成樹脂を使う点にあるのですが、使用する合成樹脂はすべて食品衛生基準をクリアした材料を使用しているという点が他の金継ぎキットより優れていると言えます。初心者でも安心して食器に使用できます。扱いが簡単で、短期間での修復が可能です。作業動画も付属しており、初めての方におすすめです。
4. プロの修理業者に依頼する:費用と期間、選び方

大切なお気に入りのアラビアを預けるなら、信頼できる業者を選びたいものです。
4-1. 修理方法の種類:本金継ぎと現代金継ぎ
プロの修理には大きく分けて2種類あります。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 本金継ぎ | 天然の漆と本金粉を使用する伝統技法 | 食品に対して安全性が高い、芸術的に美しい | 価格が高い、期間が長い(3ヶ月〜)、かぶれるリスク |
| 現代金継ぎ | 合成樹脂や新うるしを使用 | 期間が短い(数週間〜)、価格が比較的安い | 使用する樹脂によっては熱に弱い場合がある |
4-2. 費用の相場と期間
- 小さな欠け(チップ): 3,000円〜5,000円程度
- 割れ(2〜3パーツ): 5,000円〜10,000円程度
- 複雑な割れ: 10,000円〜
※別途送料がかかることが一般的です。
期間は、現代金継ぎなら1ヶ月程度、本金継ぎなら3ヶ月〜半年以上かかることも珍しくありません。クリスマスや年末年始など、繁忙期はさらに時間がかかります。
4-3. 業者選びのポイント
- 「食器」としての修理実績: 観賞用ではなく、実用食器としての修理を行っているか(食品衛生法適合材料の使用明記)。
- 過去の作例: アラビアやイッタラなど、北欧食器の修復事例がWebサイトやSNSにあるか。
- 見積もりの明確さ: 事前に写真を送って概算見積もりを出してくれるか。
5. 修理後の扱い方と今後の予防策
修理したアラビアは、以前よりもデリケートです。
5-1. 日常のお手入れ
- 手洗い推奨: 食洗機の水流や洗剤の成分は、金継ぎ部分を劣化させる可能性があります。柔らかいスポンジで優しく洗ってください。
- つけ置き禁止: 長時間の水没は、接着面や漆を傷めます。
- レンジNG: 前述の通り、金継ぎ部分は電子レンジ不可です。
5-2. 割らないための工夫
特にキッズやベビーがいる家庭や、慌ただしい朝のキッチンでは事故が起きがちです。
- 収納の工夫: お皿を重ねすぎない。間にフェルトやペーパーナプキンを挟む。
- 温度差に注意: 冬場、冷え切ったポットにいきなり熱湯を注がない(一度ぬるま湯で温める)。
6. まとめ:割れたアラビアは「思い出」とともに継いでいく

割れてしまったアラビアの食器は、単なるゴミではありません。
自分で直すにせよ、プロに依頼するにせよ、手をかけることでその器は「世界に一つだけのヴィンテージ」へと進化します。
- 小さな欠けや飾り皿なら「DIY」に挑戦
- 実用性や美しさを重視するなら「プロ依頼」
- 金継ぎ後は電子レンジ・食洗機を卒業し、手洗いで愛でる
次にアラビアやイッタラのショップを訪れたり、人気ランキングをチェックしたりする時は、新しい食器だけでなく、今手元にある「直した器」とのコーディネートも楽しんでみてください。
割れた悲しみを、愛着を深める喜びに変えていきましょう。
「レストーレ」は株式会社M&Iが運営する修復専門店です。2006年創業で東京都世田谷区のウルトラマン商店街に店舗を構えており、日本全国から多数のご依頼を頂戴しております。

レストーレでは単に修理の技術だけでなくお客様のお品への想いを受け止めて作業することを重視しています。近年ではTBS「back stage」や「冒険少年」、日本テレビの「news 「every」や「ヒルナンデス」でもその高い技術が紹介されました。
レストーレではそれぞれのお客様のご要望に適したサービスを提案しており、お品への保険やお品の安全な保管、配送時の梱包の工夫、お品物への保証などサービスの充実に力を入れています。






