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大切なウェッジウッドが割れてしまったら…  諦めないで!大切な陶磁器を修理する全ガイド

長年の愛着が詰まったウェッジウッドの陶磁器が、ふとした瞬間に割れてしまったら…。「もう使えない」「価値がなくなってしまった」と、深いショックを受ける方も多いのではないでしょうか。

特に、結婚祝いや記念日に贈られたマグカップや皿、置時計などは、単なるアイテム以上の特別な思い出が宿るものです。ジャスパーやワイルドベリー、金彩が施された美しいデザインは、あなたの食卓やインテリアを彩り、日々の暮らしに豊かさをもたらしてくれました。

しかし、諦めるのはまだ早いのです。

破損したウェッジウッドを修理する方法は、いくつかあります。この記事では、自分でできる応急処置から、専門の業者に依頼する方法まで、あなたの大切なコレクションを蘇らせるためのあらゆる選択肢を徹底的に解説します。愛着あるウェッジウッドを、修理という形で再び迎え入れ、長く楽しむためのヒントを見つけていきましょう。


ウェッジウッドとは?歴史と特徴

ウェッジウッドとは

ウェッジウッド(WEDGWOOD)は、1759年にイギリスの陶工ジョサイア・ウェッジウッドによって設立された陶磁器メーカーです。「英国陶工の父」と称されるジョサイアの革新的な技術と芸術性によって、世界を代表するトップブランドへと成長しました。

ウェッジウッドの最大の特徴は、その高い品質と芸術性です。乳白色の美しい「クイーンズウェア」や、古代ギリシャ・ローマ時代をモチーフにしたカメオ装飾が特徴的な「ジャスパーウェア」は、ブランドの代名詞として世界中で愛されています。また、その卓越した品質からイギリス王室をはじめとするヨーロッパ各地の王侯貴族に愛用され、王室御用達の称号も得ています。

ウェッジウッドの歴史

ウェッジウッドの歴史は、創業者ジョサイア・ウェッジウッドの功績なしには語れません。

18世紀:創業と革新的な陶磁器の誕生

  • 1759年、創業: ジョサイア・ウェッジウッドが29歳で自身の工房を設立。幼い頃から陶器作りを学び、常に新しい技術を追求しました。
  • クイーンズウェアの誕生: 1765年にシャーロット王妃からの注文を受け、乳白色で美しいクリーム色の陶器「クリームウェア」を完成させました。これが女王の器「クイーンズウェア」と名付けられ、ウェッジウッドの名を一躍有名にしました。
  • ジャスパーウェアの開発: 1774年には、ブランドを象徴する「ジャスパーウェア」を完成させました。このカメオ装飾は、古代の芸術品からインスピレーションを得ており、芸術的な価値も非常に高いものです。
  • 多岐にわたる功績: ジョサイアは陶工であるだけでなく、科学者としても多くの功績を残しました。窯の温度を測るための装置「パイロメーター」を発明したり、カタログ販売や送料無料といった、現代に通じるマーケティング手法を考案したりするなど、多方面で才能を発揮しました。

19世紀以降:ブランドの発展と変遷

  • ボーンチャイナの製造: 1812年、ウェッジウッドは高い透明度と堅牢性を備えた「ファインボーンチャイナ」の製造を始めました。
  • 経営の継承: ジョサイアの死後も、彼の精神は子孫に引き継がれ、ブランドは発展を続けました。1895年には「ジョサイア・ウェッジウッド・アンド・サンズ」として会社が法人化されました。
  • 合併と経営体制の変化: 1986年にはウォーターフォード・クリスタル社と合併しましたが、2009年に経営破綻。その後、親会社が変わり、2015年からはフィンランド企業フィスカースの子会社として、現在も伝統を守りながら製品を世界に送り出しています。

ウェッジウッドは、単なる日用品としての陶磁器を芸術の域まで高めたブランドとして、現在も多くの人々に愛され続けています。



破損したウェッジウッドの価値と向き合う

なぜ、私たちはウェッジウッドが破損したことにこれほど心を痛めるのでしょうか。それは、ウェッジウッドの陶磁器が単なる雑貨ではないからです。

1759年、ジョサイア・ウェッジウッドが英国で創業して以来、その洗練されたデザインと卓越した品質で、世界中の人々を魅了してきました。日本でも、テーブルウェアの最高峰ブランドとして、多くの人々に愛されています。

あなたのウェッジウッドも、きっと特別なストーリーを持っているはずです。結婚祝いとして友人から贈られた紅茶用のマグカップかもしれません。初めての一人暮らしで奮発して買ったプレートかもしれません。ジャスパーのレリーフが美しい写真立てや、家族の思い出を刻んできた置時計かもしれません。

破損したアイテムは、その思い出や愛着を象徴しています。だからこそ、簡単に捨てるという選択はできません。修理することは、そのアイテムとの新しい関係を築き、思い出を未来へとつなぐ行為なのです。

自分でできる応急処置と注意点

ウェッジウッドが破損してしまったら、まず落ち着いて破片を集めましょう。

小さな欠片もすべて保管することが重要です。修理業者に依頼する場合も、すべての破片が揃っていると、よりきれいに修復できる可能性が高まります。破片を新聞紙やクッション材で包み、安全に保管してください。

自分で簡易的な修理を試みる場合は、以下の点に注意が必要です。

  • 接着剤の種類を選ぶ: 瞬間接着剤は手軽ですが、再修理が難しくなることがあります。陶磁器専用のエポキシ接着剤やセメダインがおすすめです。食器に使用する場合は、食品衛生法に適合しているか確認しましょう。
  • 安易に捨てない: たとえ粉々に割れてしまったとしても、修理のプロなら修復できる場合があります。修理業者に相談する前に、安易に処分することは避けてください。

自分で挑戦する!ウェッジウッドの修理方法

破損の度合いが軽度であれば、自分で修理することも可能です。ここでは、比較的簡単な修理方法を2つご紹介します。

1. 簡易的な接着剤での修復

準備するもの:

  • 陶磁器用エポキシ接着剤
  • マスキングテープ
  • 爪楊枝、綿棒など
  • 新聞紙、保護手袋

手順:

  1. 破片を洗浄する: 破片をきれいに洗い、水分を完全に拭き取ります。油分や汚れが残っていると接着力が弱くなります。
  2. 接着剤を塗布する: 割れた面に、接着剤を少量ずつ均一に塗ります。爪楊枝や綿棒を使うと、細かい部分にも塗りやすいです。
  3. 接着する: 割れた面をしっかりと合わせ、ずれないように注意しながら圧着します。
  4. 固定する: マスキングテープで破片を固定し、接着剤が完全に硬化するまで静かに置きます。硬化時間は接着剤の説明書を確認しましょう。
  5. 余分な接着剤を取り除く: はみ出た接着剤は、硬化する前に濡れた布などで拭き取るか、硬化後にカッターなどで慎重に削り取ります。

この方法は、割れ目が目立たないインテリア用の置時計や写真立てなどの雑貨に適しています。しかし、口に触れるマグカップや皿など、食器としての使用は避けるべきです。強度もプロの修復には劣るため、あくまで応急処置として考えましょう。

2. 本格的な金継ぎによる修復

金継ぎは、割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着し、金粉を蒔いて装飾する、日本の伝統的な修復技術です。ウェッジウッドの陶磁器にも、この金継ぎは非常に美しく映えます。

金継ぎはただの修理ではなく、割れたラインを「景色」としてデザインに取り入れ、アイテムに新たな魅力を与えます。金彩が施されたウェッジウッドのアイテムとも相性が良く、割れ目が金のラインとなって、さらに芸術的な価値を生み出します。

金継ぎキットを使えば、初心者でも挑戦できますが、本格的な修復には専門的な知識と技術が必要です。

手順の概要:

  1. 接着: 漆で破片を接着します。
  2. 錆漆(さびうるし)で肉盛り: 欠けた部分を漆と砥の粉を混ぜたもので埋めます。
  3. 研ぎ: 漆が固まったら、滑らかになるまで研ぎます。
  4. 蒔絵: 最後に、接着部分に漆を塗り、金粉を蒔きます。

金継ぎは、修復に時間がかかり、ある程度の技術も求められますが、あなたのウェッジウッドを、世界に一つしかないアイテムとして生まれ変わらせることができます。


プロに任せる!ウェッジウッドの修理を依頼できる業者

自分で修理するのが難しい、あるいは完璧な仕上がりを求める場合は、専門のプロに依頼するのが最も確実な方法です。

1. ウェッジウッドの正規修理サービス

残念ながら、ウェッジウッドの日本国内における正規の修理サービスは、現在ほとんど行われていません。これは、英国で製造される陶磁器の修理に、特殊な技術や窯が必要なためです。

しかし、ウェッジウッドの直営店やオンラインストアに問い合わせることで、提携している修復工房を紹介してもらえる可能性もゼロではありません。まずは一度、相談してみることをお勧めします。

2. 専門の陶磁器修理業者

ウェッジウッドのような高級ブランドの陶磁器の修理を専門に行う業者は、日本にも多数存在します。これらの業者は、陶磁器の材質や釉薬、金彩の特性を熟知しており、目立たないように完璧な修復を目指してくれます。

業者選びのポイント:

  • 実績と評判: ウェッジウッドや他の高級陶磁器の修理実績が豊富か、口コミや事例を確認しましょう。
  • 費用と見積もり: 修理の価格は、破損の度合いやアイテムの種類によって大きく異なります。まずは、写真を添えて無料見積もりを依頼しましょう。
  • 保証: 修理後の保証や、再破損した場合の対応についても確認しておくと安心です。

多くの修復工房は、オンラインで依頼を受け付けています。まずは「陶磁器 修理」「ウェッジウッド 修復」などのキーワードで検索し、複数の業者を比較検討することをお勧めします。


ウェッジウッドのアイテム別修理のポイント

ウェッジウッドのアイテムは多岐にわたり、その修理の難易度も異なります。

マグカップや皿など食器の修理

食器は口に触れたり、食品を乗せたりするため、修理には特に注意が必要です。

  • 衛生面: 修理に使う接着剤や金継ぎの材料が、食品衛生法に適合しているか確認することが最も重要です。
  • 再使用の可否: 自分で修理した食器は、強度や衛生面から再使用は推奨されません。鑑賞用として楽しむのが無難でしょう。
  • プロへの依頼: 食器の修理は、専門の修復工房に依頼することで、安全かつ美しく修復してもらえます。

置時計や写真立てなどインテリア雑貨の修理

置時計や写真立て、ジャスパーのレリーフが美しいアイテムは、修理の難易度が高い場合があります。

  • 特殊な構造: 時計のムーブメントや写真立てのフレームなど、陶磁器以外の部分の破損にも対応できる業者を探す必要があります。
  • 金彩や絵付け: 金彩や複雑なモチーフの絵付けが施された部分は、色やデザインを正確に修復できる高度な技術が求められます。

特に金彩の修復は、オリジナルの輝きを再現するために、金箔や金粉の専門知識が必要です。プロの修復師に依頼すれば、金彩のラインを元のデザインに沿って美しくつなぎ合わせてくれるでしょう。


修理だけじゃない!ウェッジウッドを長く楽しむためのヒント

破損したウェッジウッドを修理することは、愛着あるアイテムを未来へつなぐ素晴らしい方法です。しかし、そもそも破損させないための日常のケアも大切です。

日常のお手入れ方法

  • 手洗い: ウェッジウッドの陶磁器は、基本的に手洗いが推奨されています。特に金彩や繊細な絵付けが施されたものは、食器洗浄機は避けましょう。
  • 保管方法: 重ねて収納する際は、間にハンカチや柔らかい布を挟むなどして、傷や欠けを防ぎましょう。
  • 急な温度変化に注意: 冷えた陶磁器に熱湯を注ぐなど、急激な温度変化はヒビ割れの原因になります。

価値あるコレクションを未来へ

ウェッジウッドは、創業以来周年を重ね、今もなお人気を誇るブランドです。コレクションの中には、すでに廃番となった貴重なアイテムも多く、その価格は高騰しているものもあります。

破損したアイテムを修復することは、単にアイテムを使える状態に戻すだけでなく、その歴史や価値を未来に伝えることでもあります。

もし、修理が難しかったり、再利用する予定がなかったりしても、あなたのウェッジウッドは、誰かにとって大切なコレクションになるかもしれません。ブランドの愛好家向けフリマサイトや買取サービスも選択肢の一つです。


まとめ

大切なウェッジウッドが割れてしまっても、修理という選択肢があることをお分かりいただけたでしょうか。

軽度な破損であれば、自分で簡易的な修理や金継ぎに挑戦することで、アイテムに新たな命を吹き込むことができます。また、完璧な仕上がりを求める場合は、専門の陶磁器修理業者に依頼することで、あなたのコレクションを元の美しい姿に戻すことができます。

マグカップや皿、置時計、ジャスパーの写真立てなど、思い出が詰まったウェッジウッドのアイテムは、きっとあなたの暮らしに欠かせない存在でしょう。破損しても、すぐに諦める必要はありません。

この記事が、あなたの愛着あるウェッジウッドを修復し、これからも長くお祝いや日々の食卓で活躍させるための一助となれば幸いです。

ぜひ、修復という選択肢を通じて、大切なアイテムとの新たな物語を紡いでいってください。


実際にレストーレで手がけたウェッジウッドの修理例

プラチナ継ぎによる修復

 

ウェッジウッド修理ならレストーレへ!



「レストーレ」は株式会社M&Iが運営する修復専門店です。2006年創業で東京都世田谷区のウルトラマン商店街に店舗を構えており、日本全国から多数のご依頼を頂戴しております。


レストーレでは単に修理の技術だけでなくお客様のお品への想いを受け止めて作業することを重視しています。近年ではTBS「back stage」や「冒険少年」、日本テレビの「news every」や「ヒルナンデス」でもその高い技術が紹介されました。

レストーレではそれぞれのお客様のご要望に適したサービスを提案しており、お品への保険やお品の安全な保管、配送時の梱包の工夫、お品物への保証などサービスの充実に力を入れています。

ご自身で修理をされる方へ金継ぎキットの紹介

最近では、初心者の方でも手軽に金継ぎに挑戦できるキットが販売されています。
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【オススメの金継ぎキット】

初心者が扱いやすく、食器に使用しても安全な材料で構成されている以下のキットをご紹介します。

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主な特徴は、短時間で金継ぎが完了できるように合成樹脂を使う点にあるのですが、使用する合成樹脂はすべて食品衛生基準をクリアした材料を使用しているという点が他の金継ぎキットより優れていると言えます。初心者でも安心して食器に使用できます。扱いが簡単で、短期間での修復が可能です。作業動画も付属しており、初めての方におすすめです。