
リヤドロの兜(五月人形)修理
型取り成形でお直し
今回は、リヤドロの兜(五月人形)の修理のご依頼を承りました。1年に一度、お子さまの健やかな成長を願って飾る大切な五月人形です。
五月人形は毎年決まった時期にしか出し入れをしないお品物だからこそ、飾る時や片付ける時にちょっとしたはずみでぶつけてしまい、破損してしまうケースが多くあります。やんちゃ盛りのお子さまが遊んでいるうちにぶつかってしまったり、しまう際に他の道具と接触してしまったりと、私たちもこれまで同じようなご相談を何度もお受けしてきました。
リヤドロの兜は陶器製で、中でも兜の前方につける装飾「前立(まえたて)」は非常に立派な造形をしています。その分、繊細で壊れやすく、実はご依頼をいただく修理箇所として一番多い部位でもあります。来年も再来年も、これから先も安心して飾っていただけるよう、今回もしっかりと修復していきます。
節句人形は一年のうちほとんどの時期を箱の中で過ごし、限られた季節だけ日の目を見る特別なお品物です。だからこそ、出し入れのたびに緊張感が伴いますし、万が一破損してしまった時の落胆も大きいものです。今回のお客様も、毎年欠かさず飾ってこられた思い入れの深いお品物とのことで、私たちも気持ちを引き締めて修復に取りかかりました。
修理前の状態

お預かりした際の状態がこちらです。
兜の前方につく前立の角(つの)部分が、複数のパーツに割れてしまっている状態でした。さらに、割れた破片の中には欠けてしまい欠損している箇所もあり、単純に接着するだけでは元の形状を再現できない状態です。

前立は左右に大きく広がる繊細な形状をしているため、破片が細かくなるほど、どのパーツがどこにつながるのかを見極めるのが難しくなります。今回は特に欠損箇所があったため、接着だけでは完結せず、失われた部分をどう再現するかが修復の大きなポイントとなりました。

リヤドロの前立とは
リヤドロの五月人形は、陶器の質感を活かした繊細な造形が魅力のブランドです。兜の前方につく前立は、鍬形(くわがた)と呼ばれる左右に伸びる角状の装飾で、兜全体の中でも特に目を引く華やかなパーツです。立体的で薄く成形されているぶん、外からの衝撃に弱く、今回のように破損しやすい箇所となっています。
作業内容
今回の修理は、接着・型取り・充填・着色という工程を経て、欠損した部分まで違和感なく仕上げていきました。
1. 接着

まずは割れてしまった破片同士を、正しい位置関係を確認しながら接着していきます。前立は左右対称の繊細な形状をしているため、わずかなズレでも全体のバランスが崩れてしまいます。破片の断面をひとつずつ照らし合わせながら、慎重に貼り合わせていきました。
2. 反対側の前立を型取り

今回は破片の一部が欠損しており、そのままでは元の形状を再現できませんでした。そこで、左右対称になっているもう片方(反対側)の前立の形状をシリコンで型取りし、欠けてしまった部分の正確な形状を採取します。左右対称のパーツだからこそ使える、この技法ならではのアプローチです。
3. 型取りをもとに欠損部分を充填

採取した型を使って、欠損してしまった部分にパテを充填していきます。型に沿ってパテを成形することで、手作業だけでは再現が難しい繊細なカーブや厚みも、元の形状に忠実に仕上げることができます。硬化後は表面を研磨し、周辺の質感となじむよう滑らかに整えていきます。
4. 着色(金の下地に黒で馴染ませる)

成形が終わったら着色作業に入ります。まずは金属の質感に密着しやすい金色の下地を塗り、その上から黒を重ねて塗装していきます。下地に金を用いることで発色や密着性が安定し、その上から黒を重ねることで、周囲の金属パーツの色味に自然に馴染ませることができます。
5. 接着して完成

最後に、修復した前立を兜本体へしっかりと接着して完成です。左右のバランスや角度を最終確認しながら固定し、全体として違和感のない、凛とした佇まいの兜へと仕上げていきました。
修理後

無事に修復が完了し、破損する前と変わらない立派な前立が戻ってきました。

これで来年も再来年も、季節が巡るたびに安心して飾っていただけます。五月人形は毎年お子さまの成長を見守る大切な存在だからこそ、少しの破損でも諦めず、末永く大切にしていただきたいと思っております。

節句人形は「毎年出す・しまう」を繰り返すお品物だからこそ、破損のご相談は決して珍しいことではありません。もし同じように前立や角の部分が欠けてしまった、割れてしまったという場合も、諦めずにまずはご相談ください。
修理・修復なら『レストーレ』
レストーレではマグカップをはじめ、陶器や建材、アンティーク家具、美術品など様々なジャンルの修理・修復に対応しております。今回ご紹介したリヤドロの兜のように、五月人形や雛人形などの節句人形の修理も承っております。
見積もりは無料で、お問い合わせフォームやメール、お電話、LINEからのご相談を受け付けております。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。







