
真っ二つに割れた急須 修理
今回は、急須の修理のご依頼を承りました。
白地に青や薄紫の朝顔と緑の葉が描かれ、輪郭には金彩がほどこされた華やかな急須です。蔓がのびやかに器を包み込むデザインで、お客様がお茶の時間を楽しみながら大切に使ってこられたことが伝わってきます。
長年ご愛用の急須が割れてしまい、弊社を探してくださりご相談をいただきました。
またこのポットでお茶を淹れて、ゆったりした時間を過ごしてほしいですよね。
集中して修理したいと思います!
修理前の状態|真っ二つに割れた急須

ポット本体が縦にぱっくりと二つに割れている状態です。注ぎ口側と取っ手側にきれいに分かれてしまっています。
さらに、蓋のつまみも外れてしまっていました。

普段使いのカップや食器類の修理方法の一つ「金継ぎ」という手法でお直しします。
今回は「クイック金継ぎ」で修理していきます。接着や充填には食品衛生基準を満たした素材を使い、仕上げは漆と純金粉で行う方法です。本格的な金継ぎの美しさはそのままに、お直しの期間を短くできるのが特徴です。
金継ぎとは?
金継ぎは、漆で接着し、純金粉を蒔いて仕上げる日本の伝統的な修理技法です。修理した部分が金色の線になり、器の新しい「景色」として楽しめます。
天然の素材を使って直す手法のため、お口に入っても人体への影響がありません。
本格金継ぎとの違い
接着から漆を使い、伝統的な技法でお直しする本格金継ぎ。漆の乾燥にお時間を要するため本格金継ぎの場合は修理期間160日ほどいただきます。一方でクイック金継ぎは30〜45日ほどで仕上がります。
急須のように日々ご使用される食器はお直しの期間も考慮してお選びいただくのがおすすめです。
金継ぎした食器の使用上の注意点
金継ぎをした部分は金と漆を使用していますので、電子レンジ、食器乾燥機、クレンザーなどの研磨剤入りの洗剤の使用はお止めください。
長時間水に浸しますと、剥がれてくる恐れがございます。また金粉は漆の表面に蒔いて接着されていますため、スポンジ等で強くこすりますと剥がれる恐れがございます。
食事での使用が可能となりますが、修理前と同じようには使用できなくなります。やさしく洗って、早めに水気を拭き取ってください。
作業内容|クイック金継ぎによる急須修理の流れ
① 清掃と接着

まずは割れた部分とその周辺を丁寧に清掃し、埃や油分をしっかり取り除きます。
次に接着です。ここが一番緊張する作業です!
急須は丸みのある立体的な形なので、少しでもズレると蓋が閉まらなくなったり、注ぎ口の向きがおかしくなったりしてしまいます。朝顔の絵柄や金彩のラインがぴったりつながるよう、最大限の集中で慎重に貼り合わせていきます。
外れてしまった蓋のつまみも、元の位置に正確に接着します。

② ルーターで溝入れ

接着が終わったら、継ぎ目に沿ってルーターで細い溝を入れていきます。
一見遠回りに思えるかもしれませんが、この溝があることで金がしっかり定着し、剥がれにくくなります。長く使っていただくための、大切なひと手間です。
③ 金彩を保護して充填

今回の急須は、継ぎ目のすぐそばに元々の金彩が描かれています。作業中に傷つけてしまわないよう、周りの金彩をテープでしっかり保護してから作業します。
そのうえで、食品衛生基準を満たした充填材で溝や細かな欠けを埋めていきます。
④ 研磨

充填材が硬化したら、表面を研磨してなめらかに整えます。
ここでも周りの金彩を削ってしまわないよう、細心の注意を払いながら少しずつ磨いていきます。指でなぞっても段差を感じないくらいまで、丁寧に仕上げます。
⑤ 漆を引いて金を蒔く


下地が整ったら、いよいよ仕上げです。
継ぎ目に沿って漆を細く均一に引き、その上に純金粉を蒔いていきます。

最後に真綿で丁寧に押さえ、漆と金をしっかり密着させます。この工程で金がなじみ、美しい輝きが生まれます。1週間ほど漆を乾かして完成です。

修理後|朝顔の蔓のような金の線に

真っ二つだった急須が、一つの器に戻りました!
縦にすっと走る金の線が、まるで朝顔の蔓のように絵柄に溶け込んでいます。元々の金彩ともよくなじみ、修理の跡がデザインの一部になったような仕上がりです。

蓋のつまみもしっかり固定され、根元には金の輪がアクセントとして加わりました。

使用している金は正真正銘、本物の純金粉です。磨き仕上げで繊細かつ格好良く仕上がりました。
お客様にも大変喜んでいただけました!

食器・陶磁器の修理・修復なら『レストーレ』
レストーレでは、急須やマグカップなどの食器をはじめ、陶器や建材、アンティーク家具、人形、美術品など、さまざまなジャンルの修理・修復に対応しております。
金継ぎ、クイック金継ぎ、プラチナ仕上げ、合成樹脂直しなど、お品ものや用途に合わせた最適な方法をご提案いたします。
「真っ二つに割れてしまった」「つまみや取っ手が取れてしまった」というお品も、諦める前にまずはご相談ください。
お見積もりは無料です。お問い合わせフォーム、メール、お電話、LINEからご相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。







