BLOG

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 1.【陶器】食器・人形・置物・花瓶・リヤドロ
  4. 接着済みの大皿修理

接着済みの大皿修理

今回は、白地に藍色の筆跡が映える大皿の修理のご依頼をいただきました。
縁がいくつも角のように張り出した、個性的で素敵なフォルムのお皿です。勢いのある筆のタッチが器をぐるりと囲んでいます。ご来店いただいたお客様からのご依頼で、大切に使ってこられたことが伝わってきました。

実はこちらのお皿、割れてしまった後にお客様ご自身で一度接着されていました。ところが、つなぎ目の段差やはみ出した接着剤が気になり、「もう一度きれいに直せないだろうか」と弊社を見つけてご相談くださいました。

「一度自分で接着してしまったから、もう手遅れかも……」
そう思って諦めてしまう方は少なくありません。でも、ご安心ください。接着済みのお皿でも、きちんと手順を踏めばお直しは可能です!
またこのお皿に料理を盛り付けて、食卓を華やかにしてほしいですよね。心を込めて修理していきます!

修理前の状態|自分で接着した大皿の様子

お皿は大きく数ピースに割れていて、それを市販の接着剤で貼り合わせた状態でした。

自分で接着した器によくあるトラブル

よく見ると、次のような状態が確認できました。

  • つなぎ目からはみ出した接着剤が、黄色っぽく固まって残っている
  • 破片同士の位置がわずかにズレて、段差ができている
  • 割れた際の細かな欠けが埋まらず、隙間が残っている

市販の接着剤は透明でも、時間がたつと黄ばんだり、表面に光沢ムラが出たりします。白い器では特にその跡が目立ってしまいます。
また、市販の接着剤には食器として安全に使用できないものも多いのです。

そこで今回は、食品安全基準を満たした接着剤でお直しする「色継ぎ」という方法で修理していきます。

色継ぎとは?金継ぎとの違い

「色継ぎ」は、割れや欠けの部分を器の地の色に合わせて調色した素材で継ぐ修理方法です。
金継ぎのように継ぎ目を金で彩って「景色」として楽しむのではなく、器本来の色に近づけた色で接着し、食器として使用できるように仕上げる修理方法になります。

修理の跡が完全に消えるわけではありませんが、お皿の色味に合わせて丁寧に色を作るため、金継ぎのようには目立たず、お皿に馴染んだ仕上がりになります。
「器の雰囲気を変えずに直したい」「金の線が入るのは好みに合わない」という方に、ぜひおすすめしたい技法です。

色継ぎした器の使用上の注意点

色継ぎをした部分は、器そのものの素材とは異なります。
電子レンジ、食洗機、食器乾燥機のご使用や、クレンザーなど研磨剤入りの洗剤のご使用はお控えください。
また、長時間水に浸けたり、スポンジや金属たわしで強くこすったりすると、修理部分が傷んだり剥がれたりする恐れがあります。
お手入れは、柔らかいスポンジでやさしく洗い、早めに水気を拭き取っていただくのがおすすめです。

作業内容|色継ぎによる大皿修理の流れ

① 既存の接着剤の除去

まずは、お客様が接着された部分を一度外し、古い接着剤をすべて取り除く作業から始めます。
今回の修理で、実はこの工程が一番時間のかかるところです。

接着剤が割れ口に少しでも残っていると、破片同士がぴったり合わず、またズレの原因になってしまいます。器の表面や釉薬を傷つけないよう細心の注意を払いながら、割れ口の奥まで丁寧に除去していきます。
きれいになった割れ口は、さらに清掃して埃や油分をしっかり落とします。

② 器の色に調色した接着剤で接着

次はいよいよ接着です。
使用するのは、お皿の白地に合わせて調色した接着剤です。器の地の色は真っ白ではなく、わずかに温かみのあるクリーム色。この微妙な色味を見極めて、何度も試しながら色を合わせていきます。

そして、ここが一番緊張する場面です!
今回のお皿は縁に角がいくつもある複雑な形状なので、少しでもズレると縁のラインが崩れ、藍色の筆跡もつながらなくなってしまいます。
前回の段差を解消するためにも、全神経を集中させて一片ずつ慎重に位置を合わせ、しっかりと固定していきます。

③ 欠けの充填と仕上げ

接着が無事に終わったら、割れたときにできた細かな欠けや隙間を、調色した素材で埋めていきます。

充填しては研磨し、表面の高さをそろえ、また充填する。この作業を何度も繰り返して、指でなぞっても段差を感じにくいなめらかな面に整えていきます。
最後に全体の色味と質感を確認して、完成です。

修理後|色継ぎで目立たずお皿に馴染む仕上がりに

今回は「お皿の雰囲気をそのままに、跡をできるだけ目立たせたくない」とのご希望でしたので、色継ぎをご提案させていただきました。
古い接着剤の黄ばみや段差がなくなり、白地と藍色の筆跡のコントラストが再びすっきりと際立つようになりました。継ぎ目は近くで見るとわかる程度で、器としての魅力を損なわない仕上がりです。

お客様にも大変喜んでいただけました!

自分で接着してしまった器も修理できます

割れた器を急いで自分で接着してしまうのは、よくあることです。
接着済みのお品でも、接着剤を取り除いてから修理し直すことができます。ただし、時間がたつほど接着剤が硬化して除去が難しくなることもありますので、気になった時点でお早めにご相談ください。

食器・陶磁器の修理・修復なら『M&I』

M&Iでは、お皿やマグカップなどの食器をはじめ、陶磁器、人形、建材、アンティーク家具、美術品など、さまざまなジャンルの修理・修復に対応しております。
金継ぎ、色継ぎ、プラチナ仕上げなど、お品ものやご希望に合わせた方法をご提案いたします。

「一度自分で直してしまった」「こんな状態でも直せるの?」というお品も、まずはお気軽にご相談ください。
お見積もりは無料です。お問い合わせフォーム、メール、お電話、LINEからご相談を受け付けております。
大切なお品ものを、また長く使っていただけるよう、心を込めてお直しいたします。